みんなの場づくり

公園づくりを通じたまちづくり

はじめまして。株式会社サポートの三谷繭子と申します。

私たちの会社は、主に土地区画整理事業のお手伝いをする仕事をしています。今回は、現在私たちが携わっている土地区画整理事業の中で取り組んでいる「公園づくりを通じたまちづくり」について書きたいと思います。

 

地域の人同士が交流できる場所

私たちが携わっている土地区画整理事業は、新しくまちをつくる仕事です。元々は農地だった場所を、地権者の方々の意向を聞きながらまちとして開発していきます。

新しくまちをつくると、そこには必ず道路や公園などの公共施設がつくられますが、その新しくできる公園を、地域でよりよく使っていける場として育てていきたいと考えています。

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アメリカ・デイビス市を旅行中、掲げられていたフラッグ。
「公園は私たちの生活をより良いものにしてくれる!」

 

これからの公共施設のあり方とは?

みなさんは、普段公園などの公共施設をどのように使っていますか?

公園は、自然とのふれあいの場所や、自宅や職場・学校以外の交流を育める場所、また防災的機能をもつ場所としてなど、都市生活を取り巻く様々な事柄に役立つ施設です。しかし近年、行政の財政状況が改善されない中、これまでと同じシステムで公共施設を維持管理・運営していくことが困難になってきています。管理費用の削減や、行政の職員不足等により全ての公共施設への管理が行き届かなくなっているのです。その結果、公園のみどりの質が落ちて場としての魅力は低下し、さらに行政がクレームに対応するために公園利用の禁止事項をつくっていくという事態が起きています。

公園は、生活の質を高めるためのパブリックスペースであるはずなのに、このようになってしまってはもったいないと思いませんか? 地域の方が自分たちの責任の中で、自由に使っていける場所にするためにどうしたら良いか、私たちは日々頭を悩ませています。

 

地域に潜在している小さな課題を解決できる場所に

私たちは公園を、暮らしのなかの小さな困りごとを解決できる場所にできたら、と考えています。地元の方々にインタビューをしていると、じっくり話をきいてみなければわからない地域への愛着や課題がみえてきます。

例えば、地元の高齢者の生活における課題についての声だと、
「昼間グループホームに行かれている方は運動する機会がないんだよね」
「気軽におしゃべりできる場所が近くにあったらいいのに」
「グラウンドゴルフをやっている人が多いのは、そこで友達ができるからだよ」

子どもの過ごし方に関する課題だと、
「子供たちは外で遊ばないで、家に帰ったらゲームばっかりだよ」
「昔はカブトムシもいっぱいいたけど、いまは採れる場所が減っているんだよね」
「3世代が公園に集まるようなきっかけの場ができるといいね」

このような昔話とともに、社会や生活の変化によってさまざまな出来事が起きていることがわかりました。

 

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地域での意見交換会の様子

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公園計画地

 

自分たちがちょっとだけ関わることで、自由に使える

私たちは、新しくつくる公園の維持管理に地域の人が関わることをきっかけとして、公園を自分たちの暮らしを豊かにするための場として使っていってほしいと考えています。公園は行政のものだけではなく、地域の資産です。

維持管理というと、退屈で面倒なものに感じるかもしれませんが、それは主目的ではありません。草むしりをしたあと、気持ちのいい場所でみんなでおやつを食べる、おしゃべりを楽しむ、自然の変化を楽しむなど、楽しい何かが待っているからこそできることです。もちろん住民だけで全てを行う必要はなく、必要に応じてコーディネーターや造園の専門家なども一緒に取り組みます。そのマネジメントの仕組みと参加の場をつくっていくのが私たちの役割です。

快適に、しかもタダで集まれる場所。ただし、使う場所は自分たちで手入れにも参加する。そうやって使うことで、場所や地域への愛着をさらに深められるという循環をつくっていければと思っています。また同時に、現在顕在化している地域課題を解決する糸口をつくれるのではないかと考えています。

この取組みを進めるなかで感じていることは、まちづくりの仕事はひとりではできないということです。その地域ごとの特性や事情もまるで違うので、伴走してくれる方たちと地道に協力関係を築きながら一緒に進めることが大切です。想いに共感してくれる人を探しながら、じゃあこのひとたちと、ここでは何ができる?ということを常に考えています。これまで積み重ねてきた準備期間を経て、まさにこれから始めていく取り組みですが、「走りながらみんなで考えたらいいじゃない」と言ってくださる地域の方の心強い声に励まされながら、これからも走り続けます。

おわりに

同様の取組みにチャレンジされている方や、地域の公園をまちづくりのためにもっと使っていきたい!という方々と意見交換などできたら嬉しいです!

About the author

三谷 繭子(東京・台東区)

1986年広島県出身
筑波大学芸術専門学群デザイン専攻、大学院で環境デザインを学ぶ。
株式会社サポート勤務(事業計画部 計画課 環境設計室室長)。
業務として公園を核とした場づくりを行うためのプロジェクトマネジメント等を行う。