みんなの場づくり

地域の日本人と外国人が多様な文化にふれられる場づくり

みなさま、はじめまして。
任意団体Sharing Caring CULTUREの三坂慶子です。
私たちは、横浜市青葉区を活動拠点として、地域の日本人と外国人が異文化体験で交流し、多様な文化にふれられる場をつくっています。

■活動のきっかけ- WHY WE STARTED

“日本に住んでいる外国人と日本人が地域で交流する場をつくりたい。”

私が、川崎市の小学校で外国とつながりのある子どもたちに日本語を教えて感じた想いでした。

外国籍の子どもは、小学校へ通うことで日本人に出会い、日本語を使う機会に恵まれます。でも、その親たちの中には(特に仕事を持たない母親は)、日本人と接する機会が少なく、日本語に自信が持てないまま、生活の範囲の狭い暮らしをしている人もいます。

各地域には、NPOやボランティアが運営する日本語の学習教室があります。言葉の支援と共に精神的なサポートを行う大事な場です。ただ、私がこれまで教師としてかかわった経験から、“日本人が日本語を教える、支援する-外国人が教わる、支援される”関係ではなく、もっとフラットに双方が出会う場はないだろうかと感じることがありました。日本語の学習以外の場で、それぞれが好きなことや興味のあることで日本人とかかわっていくことができる場があればよいのに。得意なことや母国の文化を伝えることなら、自信を持って取り組めるはず・・・

こうした想いを韓国出身で在日歴15年になる友人に伝えたところ、当事者として共感してくれました。二人で日本に住んでいる外国人が母国の文化を発信する場をつくろう、文化的な活動を通じて地域の外国人と日本人が交流を深め、つながる場にしようということで、2014年2月、任意団体Sharing Caring CULTUREを立ち上げました。

■二つの活動とその目的

「外国人」と一口に言っても、その人が置かれている生活環境や日本語でのコミュニケ―ションの力は様々です。私たちは、滞在歴の長さによっても、求められる支援は異なるのではないかと考え、以下の二つを大きな柱として活動しています。

① 多文化親子交流会(SCC Arts &Crafts Playgroup )

日本に住み始めて間もない在日歴が浅い外国人には、行政やNPOから出されている情報提供に加えて、ネットワーキングをサポートする必要があると考えています。そこで、未就園児を育てている外国人親子や日本人親子を対象に毎月1回、横浜市青葉区のアートフォーラムあざみ野で工作やアートによる多文化親子交流会(SCC Arts &Crafts Playgroup )を開催しています。

misaka_ba02

多文化親子交流会に集う親子

② 多文化カルチャー講座

一方、長く日本に住んでいる外国人の中には、いつまでも“支援される”ことに物足りなさを感じている人もいます。意欲的に日本で社会貢献したいが、生かす場がないという声も聞きます。そこで、外国人の想いや考えを発信できる場として、また外国人と日本人が文化的な活動を通じて交流を深め、地域の住民がつながる場として、外国人及び日本人を講師とした「多文化カルチャー講座」を開催しています。

misaka_ba03

多文化カルチャー講座:ルジダさんのグリーンカレー

■ 各活動の詳細

-多文化親子交流会(SCC Arts &Crafts Playgroup )

2014年9月に開催して以来、日本人親子のほか、タイ、ベトナム、韓国、インド、インドネシア、カナダとつながりのある親子が毎回10組前後参加しています。

日本語が苦手な外国人の親でも参加したくなるよう、手遊び、歌、ダンスのほか、工作やアートを中心にプログラムをつくり、遊びやアートの活動を通して、交流が生まれるように配慮しています。

参加された外国人ママに聞いたところ、「自分たちと同じように日本以外の国とつながりのある家族がいることを知ることができてよかった」、「日本での生活で困っていることを共有したい」と話されていました。

また、かながわ国際交流財団から多言語で発行されている「予防接種のしおり」を紹介したところ、「どこでもらえますか?」と質問があり、それぞれの言語でしおりを持ち帰っていただきました。情報配信がされていても、必要な人に届いていないことがあるかもしれない。小さな多文化親子交流会とはいえ、そこをつなぐ働きも担っているのではないかと感じます。

misaka_ba04a misaka_ba04b misaka_ba04c

misaka_ba04d

-多文化カルチャー講座

2014年度は、「ネニタさんのバナナ春巻き」(フィリピン)、「ソンミさんのビピンパ」(韓国)、「回さんの皮からつくる餃子」(中国)、「ルジダさんのグリーンカレー」(タイ) と年間5回の講座を実施しました。

第1回の講座を開催した時は、参加者は知人の二人。しかし、参加者が「次は友達を誘って参加します」と声掛けをしてくださった結果、回を重ねるごとに参加者が増え、一年を経て満員御礼のカルチャー講座となりました。

いわゆる「料理教室」ではないこと、「交流を目的とした場」であることを意識し、最初に自己紹介をして、参加者同士の顔が見える関係をつくるようにしています。

調理のグループ分けをするときも、知り合い同士が同じグループになってしまわないよう、グリーンカレーの講座の時は、“好みの辛さ”に応じて、グループをつくってもらいました。

調理グループごとにレシピを見ながら、再現するのですが、予想とは違う味になることもまた会食の楽しみでもあります。

マイルドな甘さを期待して作ったグループのカレーが一番辛かった・・・など、仕上がった料理の「違い」を楽しむことも交流のエッセンスになっています。

講師を引き受けてくださる外国人は、多文化親子交流会に参加されたママであったり、講座に参加した日本人の紹介であったり、人が人を呼び、講座がつながっています。また、この講座を通じて、ZUMBAフィットネスのインストラクターの資格を持つ外国人講師とそれに興味を持った参加者で、新たにサークル(ZUMBA Meet up)が立ち上がるなど、次の企画や出会いの場が生まれています。私たちの団体のミッションは、「異文化体験でつながる喜びをつくる」こと。少しずつですが、ミッションに向かって動き出しているのが主催者としての喜びです。

今後は、多文化親子交流会や多文化カルチャー講座、ズンバサークルに集った人たちの雑談から生まれるつぶやきや声を拾いながら、外国人の目線で、参加したい講座や企画を提供していきたいと考えています。日本人の講師による「日本の家庭料理」や「おべんとうづくり」の講座など、地域の外国人が参加したくなるプログラムを展開していく予定です。

misaka_ba08 misaka_ba09

misaka_ba10

misaka_ba11

■おわりに

私たちが目指す場は、
〇外国人にとって、安心できる、息抜きができる場となること。
〇違いを活かし合える場となること。
〇大人にとっても、子どもにとっても、多種多様な価値観にふれる場となること。
〇文化的な背景が異なる人との出会いや対話の場を設定することで、地域のコミュニティづくりに寄与すること。
です。

将来的には「異文化コミュニケーションワークショップ」を開催し、外国人の想いや願いが吸い上げられる対話形式の場をつくっていきたいと考えています。日本では、受け身の立場にされがちな外国人が自分たちの意見や想いを発信できる場として機能することを目指します。

○任意団体 Sharing Caring CULTURE
http://sccjapan.wix.com/sccjapan

About the author

三坂 慶子(横浜市)

幼少期をアメリカ、カルフォルニア州で過ごす。現地の小学校に通い、ほかに日本人がいないという環境の中で、なぜ自分の髪の毛は黒いのかに疑問を抱くが、“Difference is good”と教えてくれた教師の言葉に支えられる。民間の英会話スクール、インターナショナルプリスクールにて児童を中心に英語講師を10年間務めた後、川崎市立小学校の教諭となる。

出産を機に退任。2014年任意団体Sharing Caring CULTUREを韓国人の友人と立ち上げる。地域で暮らす日本人と外国人が文化的な活動を通じて交流を深め、つながる場となること、外国人の社会参加を促し、共に地域づくりを進めることを目指す。