みんなの場づくり

訪日観光客と地元の方がつながる場を根津から東京中に

この記事を読んで下さっている皆様、訪日観光客の方と話したことはありますか?
道案内ではなく、直接、じっくりと。

話したことがない人がほとんどだと思います。
そう言う私自身も、このプロジェクトを始める前はそうでした。

申し遅れました。
私、「夜のおもてなし東京」という観光ガイドプロジェクト発起人の岩嵜修平と申します。

■「夜のおもてなし東京」について
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「夜のおもてなし東京」は、夜の時間(午後5時以降)に限定して、訪日観光客の方向けに東京都内の観光ガイドを行うプロジェクトです。
2015年7月に、はじまったばかりのプロジェクトです。

名前は、東京都が運営する観光ボランティア「おもてなし東京」に由来します。
また、活動時間についても「おもてなし東京」の街なか観光案内が「午後5時まで」ということで、その後を補う意味で、「午後5時以降」に限定しております。

このプロジェクトの目的は、「訪日観光客の方々と、その観光地にお住まいの方の交流の場を設けること」
まずは、最近は「谷根千」の一角として有名な「根津」という地からはじめております。

今のところの主な活動内容は大きく3つ。
①訪日観光客と地元の方のためのコミュニティスペース「もてなし屋 根津」の運営
②街角に立ち、困っている訪日観光客にガイド・ツアー提案する「夜おもガイド」の実施
③誰でも参加可能なテーマ固定のイベント「根津夜会」の開催

後ほど、それぞれ説明させて頂きたいと思います。

■そもそものきっかけ

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そもそも、なぜ私がこのようなプロジェクトを始めようと思ったのか。
きっかけは、根津の空き室でした。
たまたまの偶然でした。

台湾に住む友人の友人が、ゲストハウスを運営したいということで、手伝わないかと言われ。
その、根津にあるゲストハウス予定地に行ってみたら、6畳ほどしかないスペースで。
そもそものゲストハウスを運営する目的を聞くと、訪日観光客の助けになりたいとのこと。
仕事も含め、フィリピンによく行くというその方は、現地でとても親切にされたと。
日本に戻っている今、ちょうど実家の一室が空いているとのことで、そこを有効活用したいと。

確かに安いゲストハウスは訪日観光客の助けにはなりますが、ベッドを2つ入れるだけで埋まるその部屋は、十分な広さではありませんでした。

聞いていた話とは違いましたが、乗りかかった船。
代替案として私から出したのが、「訪日観光客と地元の方のためのスペース」でした。

訪日観光客のための観光ガイドは、東京都を中心に、様々な団体が実施していらっしゃいます。
ただ、いくら団体の方がいらっしゃっても、観光地や駅前でガイドブックを片手に道に迷われている風の観光客の方を方々で見かけました。
そういった方々の少しでも助けになれれば。

なぜ「地元の方」に限定するか。
せっかく道案内や観光ガイドを通じて知り合うことが出来たのに、その1回だけでは勿体ない。
何度でも行きたいと思ってもらうために必要なのは、人と人のつながりだと思いました。
「訪日観光客」と「地元の方」との、人と人のつながり。
それを成り立たせるために、軽くお茶や飲み会でもしてもらえるスペースとして活用しようと考えました。

「これは良い!」とプロジェクトの具体的な動きについて考えている時に、東京都が「おもてなし東京」というプロジェクトを始めると耳にしました。しかも、道案内を行うのが金土日の午後5時までだと。

ちょうど奇抜なユニフォームで、ネット上でも話題になっていた時期でした。
「乗るしかない、このビッグウェーブに!」と思い、モジって「夜のおもてなし東京」という名前を付け、プロジェクトを開始しました。

■「もてなし屋 根津」について

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まずは、訪日観光客のためのスペースとしての機能を、大きく分けて3つ考えました。

①交流・イベント
②閲覧・検索
③荷物置き・充電

訪日観光客と地元の方との交流の場を設けることが最優先でした。
ただ、いきなり交流の場を設けることは難しい。
イベントや飲み会の場を開催することが、その最初の一歩となると思い、後述させていただく「根津夜会」という連続イベントを開催することにしました。

次に、閲覧・検索。
訪日観光客の方がよく使用されるガイドブックやサイトを見てみたのですが、十分に、各エリアの良さが紹介されているとは決して思えませんでした。
そこで、手に入る限りのガイドブックを仕入れ、更には情報を自由に検索できるタブレット端末を設置することにしました。

最後に、荷物置き・充電。
観光客の方が、キャリーバッグをガラガラ引きずりながら歩く姿をよく目にしていました。
狭いスペースですが、その苦労が少しでも楽になればと思い、荷物置きのサービスもはじめることにしました。
また、旅行の最中に携帯電話の充電が切れると困るので、充電スペースとしても活用頂けるようにしました。

この3つの機能を提供することで、訪日観光客の方が少しでも東京での旅を楽しんでもらえればと思っております。

■「夜おもガイド」について

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「もてなし屋 根津」という名でスペースは設けてみましたが、すぐに訪日観光客の方が使ってもらえるほど現実は甘くありません。

まずは訪日観光客の方との接点を持たなければならない。
そう思い、街頭にて看板を持ち、道案内からはじめることにしました。

最初は、看板に書いてある変な英語と、ただの中年が街角に立っている異様さから、一度も話すことができませんでしたが、看板の文言を変えたり、ユニフォーム代わりのビブスを着ることで、少しずつ話すことが出来るようになっていきました。

ただ、道案内をするだけでは本来の目的を達成することは出来ません。
道案内を上手く行うことが出来た先で、簡単なツアーの提案や、地元の居酒屋を案内し注文から会計まで同席するサービスなどを、今後、展開していこうと考えております。

■「根津夜会」について

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先ほど、連続イベントとして紹介させて頂いた「根津夜会」。

コンセプトを「ちゃぶ台を囲んで好きな☆☆の話をする夜会」としています。
「根津夜会」について考えるに当たり、重視したのは「連続での開催しやすさ」と「参加しやすさ」でした。

少しでもイベントの数を増やすこと。誰でも参加可能な場をつくること。
それによって、少しでも多く、訪日観光客と地元の方との接点を持たせることが出来ると思いました。

そのために無限に開催可能なフォーマットを設け、参加のハードルを下げる価格帯&内容にしました。

「イベント」と書いていますが、今までに開催した「夜会」を振り返ると、ほとんど「飲み会」です。

「日本旅夜会」「ワイン夜会」「仏教夜会」「歌舞伎夜会」「シェアハウス夜会」「本屋夜会」など、様々なテーマを設定してきましたが、ちゃぶ台を囲んで、ざぶとんに座り、お酒を飲み、同じ目線で語らい合う場ということで、リラックスしてご参加頂ける方が多いです。
その分、参加者同士の距離も近づきやすいです。

「もてなし屋 根津」が2Fにあるという事情もあり、今のところはまだ、訪日観光客の方にご参加頂くことは実現できておりませんので、これから更に認知を広げ、積極的にアプローチしていこうと思っております。
また、地元の方にもフラッと参加してもらえるよう、見え方も工夫していきます。

■今後の展開

「もてなし屋 根津」を当初の目的である「訪日観光客と地元の方のためのスペース」にすること、「夜おもガイド」の回数を増やし展開すること、「根津夜会」の認知を更に広げることが大きな目標ではありますが、他にも「訪日観光客向けスタンプラリー」など、様々な施策を考えています。

更に、その先。
「もてなし屋 根津」「根津夜会」が上手く回るようになった先で、このフォーマットを東京中に広げていきたいと考えております。

このフォーマットを実施するに当たって、「根津」という場所は決して特別ではありません。
確かに、「谷根千」のくくりから観光面で注目されていますが、同じ様な場所は東京中にも数えられないほど有ります。
そして、その場所には同じだけ、困っている訪日観光客の方が居るということです。

このプロジェクトを行うに当たって必要なものは少しだけ。

・10畳以内の部屋
・観光ガイド
・タブレット端末
・ちゃぶ台
・座布団
・冷蔵庫
・飲食物
・看板
・ユニフォーム

これさえ揃えば、どこでも出来ます。

家賃がかかるのが大きいので、補助金や助成金を頂きたいところですが、なかなか対象となるものが少ないので、そこは「夜会」の参加費を調整するなどして、ギリギリ黒字に持っていければと思っております。

■「根津夜会」の意義

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「根津夜会」は、交流の場であるだけでなく、学びの場であり、ファン獲得の場であり、孤独を解消する場であり、「好き」を肯定する場です。

好きなモノが同じ人同士のコミュニティを「インタレストコミュニティ(好縁)」と個人的に称していますが、古くは、mixiコミュニティやFacebookグループ、最近ではLINEグループやInstagramのハッシュタグなど、WEB上には数々、存在しています。

ただ、それをリアルの場に持ち込むとなると、物理的な距離が壁になります。

そこで、インタレストコミュニティ×ローカルコミュニティ(地縁)の仕組みとして考えたのが「根津夜会」です。
好きなモノが同じ、近くに住んでいる人同士でリアルに交流できる場。

「好きなモノ」の前では、年齢、性別、国籍、貧富は関係ありません。
誰でも等しく楽しく参加できる場として、「根津夜会」も広げていきたいです。

■最後に

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この通り、野望は大きいですが、今年7月にはじめたばかりで、チームメンバーも3人と非常に少ないです。

根津の近くにお住まいの方には、是非「もてなし屋 根津」での活動をお手伝い頂きたいですし、お住まいでない方にも是非、「もてなし屋」フォーマットにて活動して頂けたら嬉しく思います。

訪日観光客と地元の方がつながる場を根津から東京中に。

ご興味をお持ちの方は是非、下記までご連絡くださいませ。
night.omotenashi@gmail.com

また、「根津夜会」Facebookページにて、イベント情報を随時、更新しておりますので、宜しければご覧ください。
https://www.facebook.com/NezuNightParty

読んで頂き、ありがとうございました。

About the author

岩嵜 修平(東京・文京区)

 1987年 東京都生まれ。2010年 慶應義塾大学商学部を卒業。大手WEB制作会社に入社し、WEBディレクターとして大小様々な案件に従事。2014年に独立し、フリーランスとしてイベントの企画運営やWEB制作など。
 2015年7月 「夜のおもてなし東京」プロジェクト発足。個人プロジェクトとして「ボッチョ~ボッチをゼロにする~」など。現在は、ボッチのための情報提供メディアを準備中。テーマカラーはオレンジ。

【今までに主催してきたイベント】
・Editorial Morning
・ホンプシンプ
・マクスタ