みんなの場づくり

宮澤由香さん(山梨) 「いつも子どもを真ん中に~保育園は地域がつながる場になれる!」

協力を生み出すマネジメント

NPO法人子育て支援センターちびっこはうす(以下、ちびっこうはうす)は、山梨県内で「子育てするなら楽しまなくっちゃ」をキーワードに子育て支援を行う団体です。1991年に、現理事長の宮澤由佳さん自身が子育て中に感じた孤独感、閉塞感から、子育て支援の拠点作りの必要性を感じ、個人で設立した子育て支援センターで、「子育て広場」を運営していたところから、子育て中の親たちのニーズに合わせて事業を展開していく間に事業の範囲も規模も拡大してきました。
団体が発行する子育て情報紙「ちびっこぷれす」は毎月13000部無料配布され、月200万円の広告収入を得ています。2万人規模の「こどもの城フェスタ」や年7000人が参加する「ちびっこキャラバン」などの子育てイベントを多数の企業の協賛により実施しています。さらに、韮崎市からの指定管理事業「韮崎市子育て支援センター」は毎月4,000人の利用者があります。また、社会福祉法人を設立し、0歳児から3歳児20人の「ちびっこハウス保育園」の運営を始めました。
NPOと保育園運営の違いに戸惑いながらも、人が協力しあうために、何が必要なのか? 宮澤さんの協力を生み出すマネジメントについて、エンパブリックの情報誌「地産知縁」掲載の対談から一部をご紹介します。

たぶん私の得意なのは、人にお願いすることなんですよ

まず保育園をしようと思って社会福祉法人の設立を考えたら、必要な書類は莫大なもの。私が一番慣れない法人設立という事務仕事に困っていたら、NPO法人の事務方の実績豊富なスタッフが来てくれました。たぶん私の得意なのは、人にお願いすることなんですよ(笑)。不動産屋さんや弁護士さんや県の職員さんたちに「お願い!教えて!」って言って。保育園を立てるのにも、大工さんや設計士さんも助けてくれましたね。

私たちの活動の最初は、みんなママがボランティアで、子供の手が離れて時にプチ仕事をやってくれていました。「一緒にいたい」という気持ちがあって、後からお金がついてきた感じです。その中で、自分たちのルールは自分たちで作ってきた。しかし、保育園は国の規定が最初にあるからルールは与えられる。そして、保育士さんは、お給料があるから働く人たち。それは全然悪いことではなくって、その分、プロ意識がある。

これまでちびっこハウスは成長に応じて新しい法人を設立してきましたが、そのたび、スタッフの間で不安や動揺が起こります。すると、一時的に組織全体が揺らぐのですが、それは組織がより強く柔軟になるために必要な事なんですよね。

スタッフのことだけでなく、保育園をしていると必ずトラブルや問題は発生します。家族との行き違いもある。その時、「子どものために」って考えると園長も職員も親も急に仲間になれるんですね。
案外、子どもの幸せっていう視点に立ってないんですよ。トラブルの時、「園のルールだから」「親の権利だから」と大人の立場で話すと急に難しくなる。「お母さんも仕事が忙しいのはわかりますけど、子供のことを思って、こうしては?」という言い方だとお母さんも聞く耳を持ってくださる
「いつも子どもを真ん中に」が職員も家族も一つの大きな家族にしてくれます。園からはじまり、地域に大きな家族をつくるイメージが一つの目標なのです。

「いつも子どもを真ん中に」が職員も家庭も一つの大きな家族にしてくれる

※宮澤さんのソーシャル・キャピタルを活かした事業成長のポイント、人々の協力を引き出しながら保育園を運営していくマネジメントについて、情報誌「地産知縁」で紹介しています。 第一号、無料配布中です! こちらからお取り寄せください。

About the author

広石 拓司 (empublic)

エンパブリック代表
社会起業家の育成に携わる中で、新しいことを始めるには、多様な人たちが出会い、仲間となる場づくりが大切だと考え、2008年エンパブリック創業。地域やビジネスの現場で、本当に使える場づくりの技術を、多くの人たちが使いこなせるプラットフォームづくりに取り組む。慶應義塾大学総合政策学部、立教大学経営学部・大学院21世紀社会デザイン研究科の非常勤講師なども務める。

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