「地域のつながりが希薄と言われていながら、スポーツはスポーツで”個人スポーツ”を楽しむ人が増えている」という状況にどこか違和感を抱き、チームスポーツを通じて、地域のつながりづくりの輪を広げられないかと、2011年より総合型地域スポーツクラブ「きゅぽらスポーツコミュニティ」の活動を始めました。(チームスポーツというのは、例えばマラソンも駅伝にすることでチームスポーツになりますし、種目ありきで考えてはおりません)
これまでの自分自身の人生で、人との出会いはたくさんあっても、継続的につながっていく人はごく一部で、どこか虚しさを感じていました。その原因が何なのか?を考えていた時に、共通点が2つ以上ある人とは継続的につながっている確率も高いのではないかと思い、ただチームスポーツをやるのではなく、「異業種交流フットサル」「国際交流バレーボール」などと、交流テーマを持たせた活動にしていきました。
しかし、チームスポーツは、コミュニケーションを深めるのにも有用だと思っていたものの、それ以前に「チームメンバーに迷惑をかけたらどうしよう」といったハードルの高さが先行してしまう人が一般的に多い、ということが、やっていくうちにわかってきました。
そこで、ちょうどその頃に、エンパブリックの講座を受講したのもあり、場づくりへの意識が芽生え、
「参加者名簿を用意する」
「盛り上がりやすく交流要素も含んだウォーミングアップを実施する」
「試合の合間にディスカッションタイムを設ける」
「全員が得点したらボーナス点が加算されるといったオリジナルルールを設定する」
など、運動レベルに関係なく誰でも楽しめる工夫を増やしていきました。
こうした工夫により、最初は同世代の方が多かったのが、今では小学生~高校生までの学生から60代の大人まで、幅広い世代の方にご参加いただけるようになりました。
参加者からの要望も汲み取り、これまでに10パターン以上のスポーツを実施してきましたが、最初に始めたフットサルはもう少しで開催回数が100回に達しますし、これまで全ての参加者合計は700名を超えました。
その一方で、つながりが広がり、場としては成り立っていても、継続して来られていた方がパタンと来なくなってしまうこともありました。
また、同じ地域でまちづくりに携わっている方々には、スポーツそのものに抵抗があるからか、自身の活動にあまり興味をもっていただけず、
「本当にこの活動は地域のためになっているのだろうか?」という疑問も持たざるを得ませんでした。
そんな疑問から自分なりにたどり着いた答えは、「スポーツを通して人とのつながりができた先に、一人ひとりに合った関わりを生み出していく」ということです。
例えば、バレーボールの活動一つをとっても、
「未経験者に基礎的なこと(技術)を教える人」
「スパイクが決まった時のかけ声を考える人
(=盛り上げ役)」
「試合に出ていない時に審判をする人」
「初参加者へフォローする人」
「子供と一緒に遊ぶ人」
「写真を撮ってfacebookにアップする人」
というように、継続的に参加していただいている方には、その人に合った役割を担っていただけるような機会をつくっていきました。
また、参加者の発案で、体育館内の限られたスペースでも実施可能な”プチ運動会”を開催したり、スポーツに限らず親子が一緒になって楽しめるユニークな遊びをつくっていくチームが生まれるなど、新たな活動・チームスタッフが生まれましたし、心理学、不動産、アロマなど、一人ひとりの専門分野を一般の皆さんに身近にしていくような講座の開催も最近は増えつつあります。
このようにして、常に初めての方でも参加しやすくし、新しい担い手(スタッフ)が生まれまた新しい参加者が増えるという循環をつくる。そしてスポーツに限らない様々なサードプレイス(=仕事や家庭とは異なる第3の居場所)が生まれ、今後さらに地域に必要とされるプラットフォームになっていけばと考えています。