イノベーションは遊びから生まれます。既存の方法論ややり方の延長で考えていては、「改善」はできても、より大きな成果をもたらす「改革」はできないものです。本動画を見ると、遊びの要素を取り入れ、プロセス自身を楽しむことで、より創造的なアイディアが生まれてくるということに気づかされます。こういう「遊び」をうまく取り入れることが、「お互い様を大事にし、それぞれの強みを持ち寄ること=Collective Style」の実践には欠かせません。(エンパブ広石)
この動画は、2014年、すぎなみ大人塾「大人のまちの楽しみ方~自分発!『アソビノベーション』入門~ 20~40代集まれ!」の講座でご紹介しました。ブラウンは、遊びの反対は「うつ病」だと言っています。うつ病が広がってきている社会は、遊びが足りなくなっている状態です。現状がつらいと感じるのなら、遊びの楽しさのもつ力にもっと目を向けてよいのかもしれません。
最後に、イノベーションは遊びからしか生まれないと言われています。イノベーションをたんに「技術革新」と捉えると、いくらそれが高級で高機能なものであったとしても広がらないことがあります。逆に、いま人から見て「変なもの」であっても広がっていくものがあります。
ソニーがなぜ復活できたのかという話をするときに、よくウォークマンが取りざたされます。ソニーがウォークマンを世に出した70年代後半には、室内でレコードを聴くのが主流で、いかに音質のよいスピーカーで音楽を聴くかが大きな関心事でした。それにもかかわらず、音楽をカセットテープで持ち運んで聴くウォークマンが、人気を集め、広がりました。それは、多少音質が悪くても、外に行って音楽を聴くというスタイルが楽しいと思われたからではないでしょうか。
新しい方法が生まれないのは、既存の方法をもとにロジカルに考えていることが原因です。「音楽とは何か」、「うちの会社らしい仕事とは何か」と考えているだけでは改善しか生まれません。革新的なことをする人は、まわりから見ると「変な人」に映ります。ウォークマンの例で言えば、音質のよくないヘッドフォンを使って、外に行って音楽を聴く人は、なぜそうするのか当時の常識では考えられませんでした。
その意味で、いかに最初の「変な人」が出てくるのかということと、「変なこと」が起きた時に周りがついていくかどうかが重要です。「イノベーター」は、社会の中で2.5%くらいしかいないと言われていますが、2.5%の中だけでとどまっていたなら、オタクと言われておしまいです。したがって、イノベーターがリスペクトされるからではなく、外に行って音楽聴くことが楽しいじゃんと思う人が増えていくから、多数派になりうるのです。大切なのは、従来の常識が新しいものに取って代わることです。
日々うまく行かない現状を目の前にしていると、つい、問題に対してどうしようということばかりを考えてしまいますが、実は、もっとこんなふうになったらいいんじゃないか、という遊びの気持ちから始める意義が多分にあると考えています。ばづくーるコミュニティでは、そんな、一人一人の持っている「やったら楽しそう!」というものへの想像力から、それぞれの「Collective Style」への手がかりを見つけたいと思います。